法律相談あれこれ
弁護士 吉川法生がお答えします
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           定期借地権について

Q:最近、定期借地権付建物という言葉をよく耳にします。
土地と建物の分譲より、価格が安く、人気があるようですが、定期借地権とはどういうものなのでしょうか?

A:従来、建物所有を目的とする土地の賃貸借は、存続期間が満了してもそれで終了するわけではなく、地主としては更新をはばむには、正当事由が備わっいなければならないとされていました。
そして、この正当事由というのは、簡単に認められるものではありませんから、更新されることが原則であるような扱いになっていました。
これは、借地関係を安定にさせ、弱い立場にある借地人を保護しようという判断が根底にあります。
しかしながら、地主の方にしてみれば、一旦、土地を建物所有の目的で貸してしまうと半永久的に返ってこないという覚悟が必要となってき、かえって土地を貸すことに二の足を踏むをいうことになりかねません。
他方、借りる方にしてみても、最初から十分長い期間を定めておけば、目的を達することから、その期間が満了すれば、更新しなくてもよいと考える人もいないとは限りません。
そこで、平成4年から施行された「借地借家法」で、存続期間の満了により、更新されないという「定期借地権」が新しく設けられることになりました。
ただ、定期借地権はあくまで例外ですから、その弊害(例えば、30年の通常の借地権と同年の定期借地権のどちらかを地主が選択できる場合、地主は定期借地権でないと貸さないと主張する場合)をできるだけ少なくするよう定期借地権が認められるケースは、次のように限定されました。
1.存続期間を50年以上とする一般定期借地権
2.30年以上の期間の経過後に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をする建物譲渡特約付借地権
3.事業用建物を建てるために存続期間を10年から20年までの間で定める事業用借地権
本件で質問があるのは、1のケースです。
この1の類型は、一般定期借地権をいわれているもので、存続期間が相当長いことから、更新をしないとの約束を認めても、借地関係が不安定になることはないであろうとの判断があります。
そして、この定期借地権は例外的な借地権ですから、そのことの特約のあることは明確にされる必要がありますし、期間が満了して明渡しの問題がでてくるのは50年以上先のことですから、契約書の保管もきちんとなされる必要があります。
こうした観点から定期借地権の設定は公正証書等にすることとされています。
以上が、定期借地権の概要です。