離婚届の受理

Q:先日、夫と大ゲンカをし、思わず離婚すると言ってしまい、離婚届にも署名・押印してしまいました。
でも、冷静になって考えると、今すぐ離婚する気持ちはありません。
夫は家に帰ってこないので、勝手に離婚届を出されてしまわないかと心配です。

A:一旦、離婚届に署名・押印したとしても、それだけでは離婚が成立するものではありません。
離婚届が役所に受理されることにより離婚が成立することになります。
従いまして、離婚をすることの意思は、離婚届を作成した時だけでなく、離婚届を提出する時にもなければいけないということになります。
一旦は離婚を決意して離婚届に署名・押印したものの、あとで気持ちがぐらついて離婚届を提出する時までに夫婦のどちらかに離婚の意思がなくなれば、協議離婚はできません。
裁判例も、離婚届作成後、離婚届が提出されるまでに、離婚の意思を撤回すればよいとしています。
こうした場合以外にも、夫婦の一方が他方をだましたり、おどしたりして離婚届に署名・押印させたり、あるいはどちらかが勝手に離婚届を作成して提出するということもなくはないでしょう。
こうしたいずれの場合も、離婚届が受理され、戸籍に記載されたとしても、離婚は無効ということになります。
もっとも、一旦、離婚が戸籍に記載された場合、この戸籍を訂正するには、裁判手続きで離婚が無効であることの確認をしてもらわなければなりません。
このように、一旦離婚届が受理されてしまうと、それを訂正するには裁判手続きを経なければなりませんし、必ず勝訴できるとは限りません。
そこで、自分には離婚意思がなくなっているのに離婚届が出されそうだという場合(あるいは離婚届に署名・押印をしたこともないという場合)には、離婚届不受理申出書というものを役所に提出しておけば、事前に離婚の届出を防ぐことができます。
ただし、この不受理申出書は6ヶ月間のみ有効ですから、その後も同様の状況であれば、再び申出書を提出する必要があります。

法律相談あれこれ
弁護士 吉川法生がお答えします
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