養子制度について |
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Q:養子を取りたいと思いますが、養子制度について教えてください。 養子縁組をしようとする目的には、 ①家族の承継者を期待する場合(家のための養子)。 ②子のいない親が子を育てたいという心情を満たすための場合(親のた めの養子)。 ③親がない子に親を与えて、その健全な育成をはかるための場合(子の ための養子)。 などが考えられます。 しかし、近代では③が理想とされ、諸外国では、この目的のために法改正がなされてきています。 日本の民法では、養子縁組は原則として当事者間の協議に委ねていますので、③の理念が徹底しているとはいえません。 もっとも、昭和62年の民法改正により、子の福祉の観点から特別養子制度が設けられました。 先程述べましたように、養子縁組をするには、養親になる者と養子になる者とが合意をした上で、役所に届出することが必要です。 ただし、15歳未満の子を養子にする場合には、その子の法定代理人(ふつうは親)が本人に代わってしなければなりませんし、未成年者を養子にするには、家庭裁判所の許可をえなければまりません。 もっとも、その子が自分の孫や配偶者の子である場合は、家庭裁判所の許可は不要です。 配偶者がいる場合の養子縁組は、養親となる場合も、養子となる場合も、夫婦が共同でしなければならないとされていましたが、昭和62年の民法改正により、夫婦で共同して行う養子縁組は、未成年者を養子とする場合だけとなりました。 従来、養子縁組は養子と実の親や親族との関係は全く影響を受けることはありませんでした、従って、養子は親族に対しても、実の親に対してもそれぞれ第一順位の相続人となります。 ところが、初めに述べました特別養子制度は、実親との関係を完全に断絶させ、完全に養親の嫡出子とするというものです。 ですから、戸籍上も養子であるということはすぐにわからないようになっています。 この特別養子は、当事者間の合意ではなく、国家の宣告によって生まれるものということがいえますが、欧米諸国では未成年者を養子とするにはこの特別養子が原則的な形とされています。 この制度は、もっぱら子の利益を図るためのものだからです。 この特別養子が認められるための条件は次のようなものです。 ①6歳未満であること(ただし、6歳になる前から引続き監護されてい たような場合は8歳未満)。 ②実の親の同意のあること。 ③その子が実の親の監護を受けることが著しく困難か、あるいは不適当 であること。 ④子の利益のために特に必要であること。 ⑤6ヶ月以上の試験的な養育期間の後、家庭裁判所の審判によること。 ⑥原則として離縁はできないこと。 いずれにしましても、養子縁組は「子のため」を第一義的に考えるべきでしょう。 |
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