敷金について

Q:私は、5年前から賃貸マンションに住んでいますが、この度、転勤で引
っ越すことになりました。
マンションの契約を解除するに当たり、改めて契約書を読んでみると、賃貸
契約をするときに家主に支払った敷金30万円は返還されない、と記載されて
いています。
私は、今まで賃料を滞納したこともないし、家をひどく汚したリ壊したりも
していないのに、敷金を返してもらえないのは納得できません。どうにかな
りませんか。
また、家主は、敷金からハウスクリーニング代を差し引く、といいます。
確かに、契約書には、借主は原状に戻して返還しなければならないと記載さ
れていますが、ハウスクリーニング代を負担しなければならないのでしょうか。

A:(1) 家を借りる際に、家賃以外にも様々な性質のお金を納めるこ
とを要求されることがありますね。
「資金」「礼金」「権利金」など、聞いたことはあるのではないでしょ
うか。
「敷金」とは、家賃に滞納分があったり、賃借人が建物の一部を壊すな
どして、家主に弁償をしなければならないなどの場合に、家主が敷金と
して預った金銭でこれにあてるためのものです。
さて、今回の相談者の方は、滞納もなく、弁償の必要もなさそうです。
その場合、全額返してもらえるようにも思いますが、契約書に敷金は返
さない、という条項が入っていたら、全く返してもらえないのでしょう
か。
この点、過去の裁判例では、このような契約書の敷金は返還しないとい
う条項は、消費者契約法10条に違反して無効であるとし、滞納賃料な
ど、解約の際に家主に対して支払う債務がなければ、家主は賃借人に全
額返還しなければならない、と判断しています。したがって、相談者の
方は、全額返還してもらうことができるでしょう。
ちなみに、「礼金」「権利金」は、借りることへのお礼として金銭とい
う意味で支払われることが一般的です。したがって、敷金とは性質が違
い、いずれも賃貸借契約が解約されても賃借人には返還されないと思っ
ておいた方がよいでしょう。
A:(2) では、家主は、ハウスクリーニング代を差し引くと主張して
、全額返還を拒んでいるようですが、これは、解約の際の原状回復義務
の範囲の問題となります。
確かに、賃借人は、借りていた部屋を原状に戻して返還しなければなり
ませんが、通常の使用方法に従って生じた汚損の場合は、荷物を運び出
して部屋を返せばそれで返還義務は履行したといえるとされています。
他方、常識の範囲を超えた著しい汚損があった場合などについては、そ
のまま返したとしても返還義務を履行したといえず、著しい汚損をクリ
ーニングすることは、賃借人の原状回復義務の範囲内といえ、敷金から
差し引かれるのはやむを得ないと考えられます。
今回の相談者の方は、特にひどく汚したり壊したりしていない、という
お話ですので、通常の使用方法にしたがって生じた汚損の範囲内だと考
えられます。
したがって、ただ新たな賃借人に貸すために新築同様の状態にするため
の場合のハウスクリーニング代を差し引くという家主の主張は認められ
ません。



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弁護士 吉川法生がお答えします
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