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民法の改正4(保証その1)

2022.04.21 > 新着情報

 皆様もご存じと思いますが、約120年ぶりに民法が全般的に見直され、今年の4月から施行されました。

 改正は全般にわたりますが、経済生活を送る上で必要と思われる項目をご紹介してまいります。まずは、保証です。

保証に関する改正事項としては、

①保証の基本的な内容に関するもの

 保証人の保護等の観点から、

②保証人に対する情報提供義務の新設に関するもの

③根保証契約の見直しに関するもの

④公証人による保証意思確認の手続の新設に関するもの

があり、今回は②を御説明します。

 保証人に対する情報提供義務の新設に関しましては、契約締結時と契約締結後の規律が規定されました。

 契約締結時の規律は、主債務者(借主)が事業のために負担する債務について、個人に対し保証を委託する場合、主債務者は、保証人になろうとする者に対し、自己の財産及び収支の状況等に関する情報を提供しなければならないとされました(第465条の10 1項)。

 そして、この情報提供に関する義務違反があり、保証人がこれらの情報について誤認をし、それによって保証契約の申込又は承諾の意思表示をした場合には、債権者が情報提供義務違反の事実について故意・過失があるときは、保証人は保証契約を取り消すことができるとされました(2項)。

 次に、契約締結後の規律としては、

(ⅰ)委託を受けた保証人(法人を含む)の請求があったときは、債権者は、主債務の元本や利息等の従たる債務についての不履行の有無・各債務残額・そのうちの弁済期到来分の額に関する情報を提供しなければならない(第458条の2)

(ⅱ)保証人が個人である場合には、(a)主債務者が期限の利益を喪失した場合には、債権者は、保証人に対し、そのことを知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならず、(b)その通知をしなかったときは、保証人に対し、期限の利益を喪失したときから通知を現にするまでの遅延損害金を請求することができない

と規定されました(第458条の3)。

 (ⅰ)は、保証人にとって、主債務の履行状況(主債務の残額がいくらとなっているか、主債務者が債務不履行に陥り、日々遅延損害金が発生しているか等)は重大な関心事です。しかし、現行法には、保証人が債権者に対し主債務の内容を照会した場合に債権者がどのような義務を負うかの規定は設けられていません。このため、保証人が主債務の履行状況を確実に知る術は設けられていないことから新設されたものです。

 (ⅱ)は、保証人は主債務者の履行状況について必ずしも把握しているわけではありません。保証人の知らないところで、主債務者が履行を怠ったために主債務者が期限の利益を失った場合、保証人は、元本債務を一度に履行しなければならないだけでなく、遅延損害金も支払わなければならないという大きな負担を負うことになります。

 主債務者が期限の利益を喪失したことを保証人が知ることができれば、保証人は早期に保証債務を履行することにより、以後の遅延損害金の発生を防ぐことができることから新設されたものです。