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離婚に際しての親権者の指定とその後の親権者の変更

2019.02.03 > 法律Q&A

Q 私は、4年前に妻と離婚し、その際、子ども二人の親権者は妻としました。
 しかし、最近、子どもたちは妻の姉夫婦のところに預けられており、妻も再婚する予定であると聞きました。この際、私 が子どもたちの親権者になりたいのですが、可能でしょうか。

A.子に対する親権は、父母の婚姻中は、原則として父母が共同して行使しますが、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護に必要な事項は、父母の協議で定め、協議の調わないときや協議をすることができないときは、父または母は、家庭裁判所に対して親権者を定めることを請求し、家庭裁判所が親権等を定めることになります。手続上は、家庭裁判所に対し、調停または審判の申立をすることになります。
 離婚の調停で、離婚とともに親権者の指定について合意が成立したときは、その旨調書に記載され、親権者が決まります。しかし、離婚の調停で離婚の合意が成立しない場合、家庭裁判所は、相当と認めるときは調停に代わる離婚の審判をすることができ、その際には、同時に親権者の指定がなされます。
 離婚訴訟の場合には、裁判所が離婚判決とともに親権者の指定をします。
  
 それでは、家庭裁判所はどういった点を考慮して親権者の指定をするかですが、それは、父母のうちいずれが子の養育監護を担当するのがより子の福祉や利益にかなうかを中心として判断されることになります。具体的には、父母の生活環境、子に対する愛情、子の年齢、その意思、生活環境の変化が子に与える影響等諸般の事情が総合的に考慮されます。その際、現在どちらに育てられているか、そのことによる子どもの状態はどうかといったことも考慮されることになるでしょう。親の利益や家系承継といった理由で子の福祉や利益に反する指定をすることは許されません。

 こうして、一旦、親権者が決まっても、その後事情が変わるなどして、親権者による親権の行使が不適切と判断される場合、その変更のための手続が民法で規定されています。民法819条6項で、「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる」と規定されています。このように、一旦、未成年の子について決まった親権者を他の親に変更しようとする時は、家庭裁判所に対し、「親権者変更」の申立を行い、調停または審判手続によることになります。

 親権の変更が認められるかどうかにつきましても、それが子の利益にそうかという点が判断の対象になりますので、家庭裁判所は、そのために一切の事情を斟酌して、客観的な見地から、親権者の変更の必要性の有無を判断します。その判断基準は、親権者指定時と基本的には同じになるでしょう。したがいまして、親権者である母親が再婚したといった事情だけでは、親権者の変更は認められないでしょう。

 本件では、あなたの方の事情として、お子さんの監護を行える環境にあるか(例えば、親御さんと同居している、あるいは、実家が近所であるなど)、経済的状況、勤務状況、お子さんとの関係などが考慮されるでしょう。他方、母親側の事情として、現在のお子さんの様子や置かれた環境、お子さんと同居するかどうかを含めた再婚後の生活環境、経済状況などが考慮されるでしょう。また、場合によっては、家庭裁判所の調査官が、直接、お子さんと面談して気持ちを聴取することもあります。