相隣関係(民法)の改正(1)
2025.07.31 > 新着情報
所有者不明土地問題の解決に向けて民法の相隣関係の条文も改正されていますので、この点の説明をいたします。まず、今回は隣地使用権についてです。
隣地使用権とは土地の所有者が隣地を使用できる権利のことです。
従前の民法では、「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し、又は修繕するために必要な範囲で、隣地の借用を請求することができる」と定められていました。しかし、請求が何を指しているか明確でなく、例えば、隣地の所有者が所在不明の場合、裁判手続を経ることなく隣地使用できるかどうかは不明でした。また、規定されている目的以外に隣地を使用できるのかどうかも明らかではありませんでした。
今回の改正では、
⓵境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
⓶境界標の調査又は境界に関する測量
⓷越境した枝の切取り
のために必要な範囲内で隣地を使用することができると定め、隣地の所有者の承諾がなくても、その隣地を使用する権利があることが明らかになりました。もっとも、権利として明確になっただけで、隣地に居住している所有者が使用を拒否した場合は裁判所の判決が必要となります。
また、隣地を使用したい場合は、あらかじめ、目的、日時、場所、方法を通知しなければならないとされました。ここでいう「あらかじめ」は、2週間程度とされています。
ただし、あらかじめの通知が困難な場合は、使用開始後、遅滞なく通知すれば足りるとなりました。例えば、①急迫の事情がある場合②隣地所有者が不特定又は所在不明である場合(現地や不動産登記簿・住民票等の公的記録を調査しても所在が判明しないとき等)が考えられます。後者の場合、隣地所有者が特定できたり、所在が判明した後に、遅滞なく通知すれば足ります。この事後通知という規定が設けられたことにより、隣地所有者が所在不明の場合にも隣地を使用しやすくなりました。
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