相続人に行方不明者がいる場合の遺産分割
2026.05.08 > 法律Q&A
Q.父が亡くなりました。母は他界しているので、相続人は私を含む子ども3人です。10年前、兄は蒸発し、その後、現在まで所在不明です。兄を除外して遺産を分けることはできるのでしょうか。
A.所在が不明の人(従来の住所又は居所を去って、容易に帰ってくる見込みのない者)を不在者といいますが、不在者を除外して遺産分割をすることはできません。遺産分割は、相続人全員で協議して決める必要があります。相続人の誰かと連絡がとれないからといって、その者を除いて遺産分割協議をしても無効となります。
まず、不在者の生死が7年間明らかでない場合、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪宣告をすることができます。ここでいう利害関係人は、配偶者、相続人、債権者などのように、失踪宣告について法律的な利害関係を有する者です。失踪宣告がなされると、失踪者は死亡したものとみなされます。それにより、お二人で遺産分割協議をすることになります。
なお、失踪宣告がなされた後、失踪者が生存していることがわかった場合、家庭裁判所は、本人または利害関係人の請求により、失踪宣告を取り消さなければならないとされています。もっとも、失踪宣告によって財産を得た者は、取消によって権利を失いますが、現に利益を得ている限度でのみ、財産を返還すれば足りるとされています。
失踪宣告をするための期間が経過していないときは、利害関係人等が家庭裁判所に対し、不在者の財産管理人の選任を求めることができます。この制度は、本来、不在者のために、財産を保存・管理することを目的とするものです。
この選任申立は、不在者の住所地を管轄する家庭裁判所にします。財産管理人となる人は、不在者本人の利益を考慮して、適切な人が選任されることになります。親族が選任されることが多いでしょうが、本件のような遺産分割の関係では、利害が相反する関係になることから、弁護士などの第三者的立場の人が選任されることもあります。
財産管理人は、不在者の財産の現状を維持するなど、その管理が職務となりますので、現状維持的な保存・管理行為は基本的に自由にできますが、保存・管理を超える本件のような遺産分割などの処分行為は、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
そこで、財産管理人との間で具体的な遺産分割の話を進め、財産管理人が家庭裁判所許可の審判を得た上で、遺産分割協議を成立させることになります。
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