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公正証書遺言をつくる方法

2018.12.08 > 法律Q&A

 公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言です。
 前回、説明いたしました自筆証書遺言と比較しますと、公正証書遺言は公証人が関与するので、方式の不備や内容が不明確である等の理由で効力が問題となる余地は少なく、原本は公証役場に保管されるため紛失・滅失や偽造・変造を防ぐことができますので、安全で確実な遺言といえます。また、家庭裁判所の検認を受ける必要もありません。さらに、公正証書遺言だけで、相続登記など遺言の内容を実現する手続をとることができます。もっとも、公証人に依頼すると費用がかかること、公正証書遺言の作成には証人の立会が必要ですので、証人に遺言の内容を知られてしまう等のデメリットがあります。

 民法の定める公正証書遺言の方式は、次のとおりです。
 ①証人二人以上の立会があること
 ②遺言者が遺言の趣旨を公証人に直接口述(「口授」といいます)すること
 ③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせるか、閲覧させること
 ④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自署名、押印すること。ただし、遺言者が署名できないときは、公証人がその理由を付記して署名、押印することに よって代えることができます。
 ⑤公証人が、以上の方式に従って作成したことを付記して署名、押印すること

 これまで、公正証書遺言は、遺言する者が遺言の内容を公証人に口述し、公証人は筆記した内容を遺言者に読み聞かせなければならないものとされていました。そのため、耳が不自由な人や話すことができない人は公正証書遺言をすることができませんでした。しかし、平成12年の民法改正により、読み聞かせに代えて閲覧の方法が認められましたので、耳が聞こえない人は、この方法が可能となりました。口がきけない人のためには、口述に代え、通訳人の通訳により申述する方法、あるいは公証人及び証人の前で自書する方法によることができるようになりました(民969条の2)

 通常、遺言者が証人と共に公証役場まで出向いて作成するのですが、公証人に自宅や病院に来てもらって作ることもできます。

 公正証書遺言をつくるには二人以上の証人の立会が必要です。民法(974条)は、①未成年者、②相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族、③公証人は配偶者、四親等内の親族および公証役場の職員は証人になることができないとしています。たとえば、遺言者に妻と息子がある場合、妻と息子はもちろん、息子の妻や子も証人になることはできません。上記の例では遺言者の兄弟は証人になれますが、遺言者に子、孫も親もない場合には兄弟は相続人ですから、証人にはなれません。

 公正証書遺言を作るには公証役場に行ったり、証人を二人頼まなければいけないといったことが必要です。しかし、弁護士としましては、可能であるならば公正証書遺言を作成することをお勧めします。私たち弁護士が遺言をつくろうとしている方と事前に相談をして、遺言書の案をつくり、公証人に連絡をして遺言書を作成すること、そして、弁護士や弁護士事務所の事務局が証人になることもよくあります。

 公証人に出張を要請する場合は制限がありますが、公証役場に出向く場合は、公証役場はどこでも構いません。因みに、大阪府の場合ですと、府下に11の公証役場があります。